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執筆者の写真酒井 絵美

帰京

更新日:2020年5月27日


タイの海辺の、海しかないような場所で、何もしない1週間を過ごしてきました。

飛行機と宿だけとって、大きなトランクに単行本を数冊とワンピースを数枚詰めて。楽器がない背中はスースーして、荷物検査がとても楽なのがすこし不安だった。

逃避と休養、それ以外の目的のない旅は初めてだったけれど、想像以上に何もしなかった。起き上がれる気分になったら朝ごはんを食べ(低血圧は旅先でも治らない)、逃げ帰るように空調のきいた室内に飛び込み、本を読むか寝るかし、気が向くとバルコニーに出て、ビールをあけ、時にはポテトチップスまであけ、時々虫に刺され、日が落ちてきたら泳ぎ、プールサイドにはカクテルが届き、お夕飯を食べに行って、やはりだいたい虫に刺され、するりと眠って一日が終わる。そういえば私は小さい頃からひどくのんびりな性格だったことを、数年ぶりに思い出したりしたのでした。

おそらく数年後には、シュノーケリングに行っては船での帰り道でものすごい嵐に巻き込まれたり(ライフジャケットを着用しどうやったら雷に撃たれずにすむかを考える数十分間)、「大きな木の実〜♫」と近寄ったらその実のつぶつぶが全部うごめいていたり(蜂の巣だった)、行ってみたかった寺院に行っては暑さのあまり不機嫌だったり、そういうことばかりきっと思い出すのでしょう。

そろそろ、いい流れがくる気がしています。

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